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木の家造りから学んだこと、感じたこと

今月の『楽しい家づくり』は、私が参加しています、旭区の異業種交流勉強会で先日、発表させていただきました『木の家づくりから学んだこと、感じたこと』を書かせていただきます。
(講演内容を抜粋いたしました。)
はじめに
「衣食住」は人間が生きていくうえで欠くことのできない三つの要素といわれています。私達日本人は衣と食は贅沢三昧で飽食な状態だと思います。しかし住宅となると、日本の住宅事情は、先進国としては、そのレベルの低さを揶揄されても、反論の余地も無いのが現状ではないでしょうか、単に国土が狭いだけが、その言い訳のように言われています。しかし、私は、本質は別のところにあると思います。仕事、個人の人間関係、また、教育も、家族が健康に暮らす、明るい家庭の充実があってこそと、思われます。だが、器として、そのことが実践できるような家に住まわれておられる方がどれだけあるか、を考えますと、まだまだ、意識が低いような気がしてなりません。そこで、先日は、主に、注文の木造住宅を造る会社の経営者として、また、建築技術者として、日ごろ感じていることと、私が目指す国産材の家づくりの事を、お話させて頂きました。

●団塊の世代、人口急増と経済最優先時代の家づくり
私は1947年生まれで戦後復興から、経済の成長期に少年時代を過ごしてきましたが、小学校2年生ぐらいまでは近所に畑、田んぼ、小川がありレンゲが咲き、綺麗な日本の風景がありました。それがいつの間にか、田圃に赤い布が張られ、工場の廃液(赤や黄色い水)が川を汚していく、また煙突の煙、が、公害ではなく、工業発展、成長のシンボルと言われる時代になっていきました。
その頃、住宅はどの家も子沢山で寝る部屋も無い状態で、家は増築を繰り返し、原形を留めない町並みになってしまいました。その考えが、現在にも至っているように思います。
又、それと時期を同じくして、電化製品の普及、プラスチック製品の氾濫が始り、建築の材料も新建材と言われる贋物の材料が建材メーカーから大量に出回り、殆どの家の建材として使用されだし、ぱっと見ただけでは本物かどうか見分けがつかない建築材料が用いられるようになってきました。
★新建材のキャッチフレーズは「安くて、早くて、お手入れ簡単、手間要らず」でした。
人間の五感、視覚、触覚、嗅覚、聴覚、味覚の中でも視覚が一番騙されやすいと言われています。余談ですが木を選ぶ時には、視覚だけに頼らず、触角、嗅覚を駆使し自分にあったものを、用途に応じて、選んでいただきたいと思います。

●家づくりに見る自由主義のはき違い
里山の風景の中に、洋風の国籍不明の家(ピンクやオレンジ色の外壁)を個人の家として建てる人がいます。これこそ、家造りに見る自由主義のはき違いと言わざるを得ません。

●間取りの大事さ
昭和30年代、国が日本住宅公団に、新しい住宅の形としていわゆる団地と称する住宅のスタイルを、提唱させました。これが2DK、2LDKの走りです。
この間取りは、ダイニングキッチンを中心に考え、それまでの日本の住宅の間取りの様々の欠点を改めさせ、現在に至っています。
間取りは住宅を造る段階で最重要なものです。ご自分の生活をよく考えられて、御家族全員で意見を出され、話し合われることが、良い家づくりの第一歩だと思います。

●建築基準法の功罪
戦災による都市防火の考えかたから、内装、外装が無機質の建材に変わり温かみが伝わってきません。都市や建物の防火の観点からは効果があったと思いますが、無機質の材料で覆われた、味気ない建物を見たり、住んだりすることで、失った物も大きいのではないでしょうか。

●現代の、家造りの現状を憂う。
国籍不明の住宅が多い。
このままいけば、日本の町並みは世界中の住宅の展示場に成っていくのではと心配しています。日本人としてのアイデンティティーを、しっかりと持って欲しいと思います。
明治以降、日本人の生活が洋風化されて、着物から洋服、下駄、草履から靴、食卓が座卓からテーブル・椅子に、トイレも和式から、洋式に変わっていきました。しかし、日本人の生活スタイルで、変わってないのもあります。1つは土足で家の中に入らない、もう一つは風呂も洋式には変わっていません。これは日本人の清潔好きが、もたらしているのだと思います。

●建売住宅のこと
○建て主の顔が見えない家づくりの横行
住宅メーカーの工事、建売住宅の現状は、顧客が苦労してお金を貯めて家を建てている事が、建てる側の末端にまで伝わってきていないように感じます。又お客さんの方もこれから何十年もローンを払っていくという現実が分かっておられない気がします。
何故そうなったか?

1.話時代の建築スタイルが未だ継承されていて、10年過ぎたら建物の価値が無く土地値で取引される現実に大工の心も技も無視された格好になってしまい、ひいては手抜き工事の温床になってしまいました。
2.米では建物の価値が評価されて50年100年と受け継がれていかれます。
3.能力をマイスター制の充実により定められ、職人の尊厳も保たれています。

最後に、私が目指す国産材の家づくりについて

●木の家は、こころが豊かになる空間です。
新築の家に入ってもその家が木造なのか、鉄骨造なのか、鉄筋コンクリート造かが、内装からは判断つかない家が沢山あります。
木の家という宣伝はあっても、梁も、柱も何処にあるのか見えない仕上げで、辛うじて一部屋あった和室の内装ぐらいで、それも、天井は合板、柱、鴨居、などの造作材も薄い皮を張った贋物の木で作られています。
先にも述べましたが目で見れば全く解りませんし、かえって集成材のほうが始めは綺麗かもしれません。しかし、手のひらで触って、みてください、温もりは伝わってきません。木の香りもしません。
又、最初綺麗な表面も、経年とともに化けの皮が剥げてきて、艶も何も出てきません。完成時が一番綺麗で後は汚くなる一方です。
山で囲まれた日本なのに、何故日本の木が使われないか?

◆山から製材、材木の一般ルートが古い体質のまま立ち遅れたのと急峻な山から伐り出す労働者不足が原因。
◆林道の未整備、個人主義などで搬出価格が高く付く。
◆アメリカは丘に木が生えているので機械化が進みコストが下がる。時間当たり60倍ぐらいの量が出せる。
◆船便でアメリカから東京に来る運賃よりも、国産材を関西から東京に運ぶ方が高く付くのが現状です。
◆吉野では95%がヘリコプター集材で、一分7000円時間当たり42万円かかる。
世界の各国の林業が輸出先のターゲットとして日本に焦点を当てている。
◆日本人の贅沢気質のため、一番良材が日本に入ってくる。
◆一番良い木が日本向けで、Aヨーロッパ、Bアジア上海北京主要都市、C米国内、D中近東アラブの順になっています。
◆米松も一次林は殆ど伐り尽くされ、現在は二次林の材が輸入されている。
◆環境が違うからでしょうか、親の木を残しておけば種が飛んで自生する、というのがアメリカの林業です。
◆日本のように植林して間伐して、鹿や動物から守る手入れも要りません。
◆日本は枝打ちなどをしないと、草が生えず地山が雨水を吸収できなくなります。
◆現状は、枝打ちなど手入れの出来てない日の入らない暗い山が増えています。
◆林業の荒廃は生態系の破壊を招き、里には洪水や、海では、漁業にまで、影響が及びます。
一個人では、動かしようのないことばかりの気もしますが、まずはひとり、ひとりの第一歩からです。

●私の現状
国産材の方が高く付き、お客様に家を建てるに当たって「環境問題に一肌脱いで、少し高いけどお願いします」とは、なかなか言えない状態ですが、木は育った同じ気候風土の土地で使うのが一番適しています。これは大変大事なことだと思います。
木肌の見える家づくり、梁や柱が見える、触って楽しむ、香りを楽しむ家づくりをしてこそ国産材の良さが出てきます。
これは、私の家づくりの信念でもあります。

●シンプルと言う手抜き
最近の傾向として、色んなものが、シンプルなデザインになってきました。建築物も、垢抜けしたデザインの家が多くなってきましたが、逆の言い方をしますとあっさりし過ぎている気がします。ビルも住宅も、外装も、内装も、そのように感じます。
又、車も、その他日用品も全てが、シンプルと言えば聞こえはいいですが、もっと「美」というものを考えて創るべきではないでしょうか?
近所に千林の長屋が雑誌などに紹介されていますが、昔の大工さんが板図一枚で考えてデザインした「屋根、塀、門、玄関」など、きっと新築の時は素晴らしかったと思います。今時の建築家のデザインしたマッチ箱を置いたようなつまらない家や、国籍不明のデザインの家より、格段の趣があると思います。

以上から、我々の住む現代社会は、日本人として人間の感性、特に美意識が、歴史上一番希薄に成っていると思います。
 

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